妊娠高血圧症候群は2005年まで妊娠中毒症と呼ばれていました。母体と胎児への影響が大きく、早産や死産などを招きがちになります。重症になると、分娩前後に高血圧による脳出血を起こし、胎児とともに生命の危険にさらされることもあります。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の症状
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)では、高血圧、たんぱく尿、むくみ(浮腫、ふしゅ)がその症状として見られます。基本的には妊娠20週以降での発症が多く見られます。
高血圧の症状
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になると、毛細血管が硬く縮むため、血液が滞りがちになります。それが血圧を上昇させる原因となります。
最高が140、最低が90以上になった場合は要注意です。重症になると最高血圧が200を越える人も出てきます。
たんぱく尿の症状
腎臓(じんぞう)から出たたんぱく質が、尿の中に混じって出てくるのが「たんぱく尿」です。一、二回微量に認められる程度であれば問題はありません。ただし、尿が白色に濁ってきたら注意信号です。重症になると、豆腐のように白く凝固したりします。もし、慢性肝炎の持病を妊婦が持っている場合は、妊娠初期よりたんぱく尿は見られる場合もあります。
むくみ(浮腫、ふしゅ)の症状
妊娠28~32週頃に足のむくみが出てきたら要注意です。むくみの判定は、すねから足にかけて指で押してみたときヘコミが戻らなければ、むくみが出ているといえます。
健康な人でも、夜になれば多少のむくみは出てきます。ですが、朝起きても顔や目の周り、手足などがはれぼったいようでしたら、どこかに異常があると考えましょう。
特に妊娠後期には、体重は一週間に350gから500gくらい増えていくものです。もし、一週間に500g以上増えるようでしたら妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の疑いがあります。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の重症になった場合の症状
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の重症になった場合、子癇(しかん)、肺水腫(はいすいしゅ)、常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)などを併発し、生命の危険に陥ることもありますので、注意が必要です。
子癇(しかん) の症状
子癇(しかん)の前ぶれでは、むくみ、たんぱく尿、高血圧といった症状が急速に現れ、頭痛やめまいが激しくなったり、目がチカチカしだしたりしたら要注意です。
子癇(しかん)になると、意識不明になり、痙攣を起こします。そのまま呼吸停止や昏睡となってそのまま死亡してしまう場合もあります。子癇(しかん)の前触れの症状がでたら、直ちに医師の診断を受けるようにしましょう。
肺水腫(はいすいしゅ)の症状
肺水腫は肺の血管内の血液量が増え、流れが滞った状態です。肺水腫をおこすと突然息苦しくなり、呼吸回数が増え、胸痛・咳などの症状が現れ、ピンク色の泡状の痰(たん)がでます。
肺水腫になったら絶対安静が必要です。原因となる心臓病の治療が最優先です。症状によっては酸素吸入や痰の除去も行われます。
常位胎盤早期剥離の症状
胎盤が正常な位置にあるにも関わらず分娩前にはがれてしまうもので、母子の命に関わる重大なトラブルです。症状としては内出血をおこし、下腹部に激痛が走ります。もし自覚症状が現れなくとも、腹部を強打した後出血したり、胎動を感じなくなったときは受診しましょう。
常位胎盤早期剥離の場合、胎盤がはがれてしまうので、胎児に必要な栄養や酸素が補給できなくなります。診断の結果確定となったら、直ちに帝王切開となります。また、母体も出血による貧血や血液が固まらなくなる症状になりやすいので、その治療もあわせて行われます。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になりやすい人
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の原因の特定は難しいのですが、以下のような人がなりやすいと考えられています。
- 妊娠前から高血圧、貧血である人
- 腎臓病や糖尿病、肝臓病の持病がある人
- 高齢もしくは若すぎる人
- 初妊婦
- 多胎妊娠の人
- 肥満体型の人
- 寒い地方の人
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の予防方法
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の予防のためには、日常の生活の仕方がとても大事になります。疲労やストレスがたまらないように、心身を休めるように心掛け、睡眠は8時間以上とるようにします。例え昼間でも疲れが溜まっているときは、横になるなどして休むようにします。
食事に関しては塩分過多にならないように気をつけます。カロリー過多にも気をつけ、高たんぱく質の食品を多く取るように心掛けます。
水分に関しても取りすぎは厳禁です。塩分をひかえているのですら、それほど水分は必要ないはずです。野菜などの食品から水分は摂取していることを考え、水分の摂取量を考えましょう。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の治療法
治療の基本は、安静にして体の負担を減らすことと食事療法です。 重症の場合は入院して食事療法を行い、経過を見ながら治療します。
食事療法のポイントとしては、減塩食と摂取エネルギーの制限です。これだけでもかなり妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)は改善されます。食事に関しては高たんぱく質の食品中心で、減塩に気をつけます。
基本的に軽症であれば、分娩は自然分娩できます。ただ、重症の場合、陣痛促進剤を使ったり、帝王切開をする場合もあります。
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